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【旅プラン】伊豆半島にモミ林を見にいこう(1泊2日)

目次

工程

1日目
テーマ:地形の違いによる土地利用、植生の違い

09:30  伊豆箱根鉄道・牧之郷駅集合
09:45  行程説明後出発
12:00  大野神社・昼食
12:30  大野神社出発
15:00  修善寺駅着
15:30  吉奈・湯ヶ島温泉行きバス乗車
16:07  新宿停留所 下車 16:10  宿着

宿:天城べにや

2日目
テーマ:暖温帯域の代償植生と自然植生シキミ‐モミ群集の観察

07:30  宿発
12:30  桐山林道三角点493.0m 着・昼食
13:00  三角点出発
14:00  浄蓮の滝着  解散
浄蓮の滝 バス停留所時刻
14:27発 修善寺行
14:33発 伊豆急下田行

持ち物
非常食,雨具,地形図,方位磁針,1日目の昼食,防寒具(手袋など),帽子,図鑑,その他必要なもの.

旅費:1万円 (修善寺駅‐新宿停留所片道交通費込)

みどころ

<地史・地質・地形>

 伊豆半島周辺の地史は,伊豆・小笠原弧がフィリピン海プレートの移動により日本列島に向けて北上してきたこと,とくに伊豆地塊が200-100万年前以降本州弧に衝突したことにより説明されている.約1100万年前には本州より1000kmほど南に位置していたことが報告されている.

 伊豆半島は,標高1500m以下の山地を主とする.伊豆半島北部中央には狩野川が北流し,その流域は達磨山・猫越峠(980m)・天城山系を連ねたU字型の分水界に囲まれる.伊豆半島の山地には,様々なタイプの第四紀火山が存在する.伊豆半島の最高地点は天城山(万三郎岳,1405m)であり,達磨山(982m),長九郎山(996m)がそれに続く.これらの高所は開析が進んでいるものの,テフラや古地磁気からみていずれも前期ないしは中期更新世に活動した第四紀火山である.この第四紀火山を取り除くと,伊豆半島の最高所は標高1000m以下である.

 これらの第四紀火山の基盤をなす地層は,湯ヶ島層群(中期中新世)とそれを覆う白浜層群(後期中新世―鮮新世)である.いずれも海底噴出・堆積の溶岩,火山砕屑岩を主とする地層である.このほか,半島の南西部(松崎付近)に前期中新世の化石を含む仁科層群が小範囲に分布する.これらの新第三紀層を不整合に覆って陸上噴出の第四紀火山岩がのる.その基底部付近には,北東部(修善寺東方)などに前期更新世のシルト岩・砂岩・礫岩などからなる海成の堆積岩(横山シルト岩)がある.これと第四紀火山岩類を一括して熱海層群と呼ぶ.伊豆半島は以上の4つの地層群からなる.

 伊豆半島の最高地点は第四紀火山の天城山であるが,このほかにも伊豆半島には,達磨,棚場,長九郎,猫越,蛇石などの第四紀複成火山が存在する.これらは,いずれも活動期が主に前~中期更新世であるため,現在では開析が進み火山地形が不鮮明である.

<気候>

 伊豆半島は本州の中部にあって、相模湾と駿河湾を東西に分け太平洋に突出し、黒潮の影響を直接受ける。そのため、気候は温暖で雨量に恵まれ、特に冬期の気温が高く、夏は涼しいという海洋性気候を示している。伊豆半島内においては、南部と北部、東海岸と西海岸で気象の特性は異なる。沿岸地方では、年平均気温が15-17℃と暖かく、一方内陸では日中と夜の気温差が大きく、冬期の冷え込みは強い。また、風の特性をみると、南伊豆では西よりの季節風が強く、他の地域では海陸風型を示す。東海岸では、北東風により曇りの日が多く低温となりやすく、西海岸では南西から西風が卓越する。冬期は天城山付近で降雪もみられ、積雪となることは珍しくない。

 天城山系は、東南西の三方面を海洋に面して黒潮の影響を強く受けるため、気候は温和で一般に湿度が高く、年間降水量も3000mmを超える。気温は、年平均7-15℃内外を示すが、高所は、冬期において、西北西の風が強く寒気も相当はげしい。

<植生>

 伊豆半島は、南北50km、東西15-35kmの狭い地域に、海岸風衝草原から山地帯のブナ林まで配分された植生分布を示しており、急峻な地形を形成する日本列島中部太平洋岸の植生の1つの縮図ともいえる。伊豆半島の丘陵地では、海抜150mまでの低海抜域にホソバカナワラビ‐スダジイ群集、海抜150m-450mの丘陵地にヤブコウジ‐スダジイ群集、450-800mにシキミ‐モミ群集が発達し、ブナクラス域に移行する。

1日目に行く大野集落周辺は土地利用が進み、その土地本来の自然植生はほとんどみられない。潜在自然植生は、ホソバカナワラビ‐スダジイ群集およびヤブコウジ‐スダジイ群集である。(静岡県潜在自然植生1987)ホソバカナワラビ‐スダジイ群集は、斜面・山足の保水力、排水力の優れた、空気の含有量の多い土壌堆積物に発達する。ホソバカナワラビ‐スダジイ群集の立地はスギ植林に利用されやすく、また沖積地や丘陵地はミカン園に利用されている。ヤブコウジ‐スダジイ群集の立地は、茶畑、畑地、スギ・ヒノキ植林、コナラ二次林、住宅地などに変わっている。しかし、シイ・カシ萌芽林の分布が確認されているので、現地にて土地本来の潜在植生を観察することができる。

2日目には、ヤブツバキクラス域の中では相観的に針葉樹林の形態をもつシキミ‐モミ群集が観察できる。シキミ‐モミ群集は、やせ尾根地ではモミ、ツガが優占するが、急傾斜地の岩崖地ではウラジロガシが高木林に優占した林分を形成する。また、海抜720‐870mの伊豆半島湯ヶ島町猫越峠では山頂直下のゆるやかな斜面にアカガシ優占林が形成されている。シキミ‐モミ群集は、発達した林分で樹高20-30mの森林を形成する。亜高木層、低木層には、ヤブツバキ、シキミ、ヒサカキ、ユズリハ、ヒイラギ、ミヤマシキミなどが生育している。草本層にはキッコウハグマ、コバノカナワラビなどが生息する。

伊豆半島は屋久島・尾鷲市付近と共にシダ植物の三大宝庫のひとつであることも観察のみどころである。

引用文献
貝塚爽平ら(2000):「日本の地形4 関東・伊豆小笠原」 東京大学出版会 349p

町田洋ら(2006):「日本の地形5 中部」 東京大学出版会 385p

高木宏・遠山三樹夫(1987):「天城山のブナ林の植物社会学的研究」.横浜国立大学教育学部理科教育実習施設研究報告(4):11-20.

静岡県の気象特性:http://www.jma-net.go.jp/shizuoka/index.html (アクセス2012.03.04)気象庁静岡地方気象台

静岡県(1987):静岡県の潜在自然植生

宮脇ら(1977):「中部圏(東海地方)の潜在自然植生」。横浜国立大学環境科学研究センター紀要3(1):77-109

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