皇位継承のルール
天皇陛下の皇位継承を巡って、今更言うまでもなく、これまで様々な議論がなされてきた。
愛子内親王が天皇になられるかどうか。
また女性天皇・女系天皇についてはどうなるのか。
まずは日本国憲法と皇室典範において、皇位継承について規定はどうなっているのだろうか。
【皇位継承のルール】
日本国憲法 第一章 第二条
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
上記の日本国憲法の第一章 第二条ではまず、皇位は世襲であること、そしてその規定は皇室典範で決められると規定されている。
前回の記事で書いた称徳天皇の寵愛を受けた道鏡僧が天皇へ即位するかもしれない事態(いわゆる道鏡事件)はこれにより防がれている。
それでは次に、皇室典範ではどのような規定があるのか見てみる。
皇室典範
皇室典範 1947年(昭和22年)5月3日
第一章 皇位継承
第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
一 皇長子
二 皇長孫
三 その他の皇長子の子孫
四 皇次子及びその子孫
五 その他 の皇子孫
六 皇兄弟及びその子孫
七 皇伯叔父及びその子孫
2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
3 前二項 の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。
第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。
第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
簡単にまとめると、下記のとおりである。
- 皇位継承は皇統に属する男系の男子に限定
- 皇位は「皇族に、これを伝える」と定められ、いま皇族である者に皇位継承は限定
- 皇位継承の順序は、直系優先(天皇の子)>長系優先(兄弟の中で年長者を優先)>近親優先(天皇から血縁が近い者を優先)となる
したがって現在の皇室典範においては、女性が天皇になることはできないということがわかった。
ところで、現在は女性が天皇になることができないことはわかったが、これまではそうではなかった。
実際に8人(10代)の女性天皇が存在した。
推古天皇・皇極(斉明)天皇・持統天皇・元明天皇・元正天皇・孝謙(称徳)天皇・明正天皇・後桜町天皇だ。
いつから女性天皇が禁止されたかというと、大日本帝国憲法と同時に規定された明治皇室典範からである。
女性天皇・女系天皇
ここで整理しておきたいのは、女性天皇と女系天皇の違いである。
これまで女性天皇が存在したことは上記のとおりであるが、すべての女性天皇は男系である。
男系とは、父方に天皇の血筋を引いていることをいう。
たとえば現在の天皇陛下(徳仁様)の娘である愛子内親王殿下が次の天皇になった場合は男系の女性天皇となる。
女系とは、母方に天皇の血筋を引いていることをいう。
たとえば上記のように愛子内親王殿下が次の天皇となり、さらに愛子様の子供が天皇になった場合は女系天皇である。(子供が男でも女でも)
過去に女性天皇はおられたが、女系天皇は存在していない。
例として「磯野朝」が存在していたとします。
現天皇を波平さんとします。
波平さんには3人の子供がいますよね。
サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんです。
この3人が皇位継承した場合はいずれも男系天皇になりますが、
サザエさんとワカメちゃんは女性なので「男系の女性天皇」ということになります。
日本の歴史を見返しても「男系の女性天皇」は複数存在していますし、男系である以上は万世一系が保てているので問題ないでしょう。
ここで、後にサザエさんの息子のタラちゃんが皇位継承したとしましょう。
するとこの時点で磯野家は男系ではなくなり、マスオさんのフクダ家の男系に変わります。
タラちゃんは「女系の男性天皇」となり、王朝はフクダ朝に変わる(=万世一系ではなくなる!)ということなのです。
女性天皇と女系天皇の違いとは?を図解でわかりやすく!
平成17年11月24日付け(小泉内閣)皇室典範に関する有識者会議の資料をもとに、6世紀から8世紀にかけ即位された女性天皇の関係者相関図を作成した。
今後の皇位継承
「皇統に属する男系の男子」という皇位継承資格を有する皇族は秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下及び常陸宮正仁親王殿下の三方がいらっしゃる。しかしながら現実的には、次世代の皇位継承資格を有する皇族は、悠仁親王殿下のみと言っても過言ではない。
上記のようにお一人だけであるために、男系男子を維持するのが難しいのではないかという意見が出てきている。
一方、旧宮家を復活させれば解決するのではないかという意見もある。
以下で男系男子は維持できるという意見を紹介する。
●側室なしでも父系継承は可能
側室制度がなければ男系継承は維持できないという主張もあります。
しかし、かつて側室制度が必要だったのは、幼児死亡率が高かったためで、現代医学の下では必要ありません。
事実、初代の神武天皇から今上陛下まで、父子-父子の継承で数えると 73 世代(代数は 126 代、北朝の天皇を加え、結婚しなかった天皇を引くと120 人ですが、これらの天皇の側室を除いて、正妻お一人からだけでも 168 人の男子が誕生しています。天皇の正妻お一人だけからでも、歴代天皇の数を上回る男子が誕生しているのですから、あと4 つほどの宮家でもあれば、現代医学の下では十分すぎる数でしょう。 ちなみに、近代以前においてはどれほど子供が成人することが難しかったかを見ておきましょう。
明治天皇子女 男子―1/5 女子―4/10 合計 5/15 (成人数/誕生数)
孝明天皇子女 男子―1/2 女子―0/4 合計 1/6
仁孝天皇子女 男子―1/7 女子―2/8 合計 3/15
光格天皇子女 男子―1/10 女子―1/9 合計 2/19
(竹田恒泰氏の調査)
●占領政策がなければ皇統の危機は存在しない。
それでは、何故、現皇室は現代医学の下で皇位継承者の減少に悩まなければならないのか。それは、敗戦の結果、旧宮家の臣籍降下を強要されてしまったからです。昭和22 年、11宮家26名の男性皇族が降下を強いられました。この旧宮家には平成 17 年現在で 35 名の男性がおられました。現在でも、確認できただけで、20 代以下に、少なくとも5名の男子がおられます。もしこの方々が皇族に留まっていたら、現在の危機は存在しません。
このような方々に皇族に戻っていただこうという案に対して、旧皇族は現皇室から血筋が離れすぎているという反対論があります。旧皇族は南北朝時代に現皇室と分かれた伏見宮家の血筋だから、600年以上の時が経っており、時間的に遠すぎるというのです。 この点は既に述べましたが、氏の世襲感覚では本質的な問題ではありません。それに、旧皇族には敗戦まで皇位継承権が与えられていました。敗戦後もこの方々が皇族に留まっていたら、血筋が遠すぎるなどいう議論は起こらなかったでしょう。それに皇位継承権を失ってから、まだ 70年しか経っていません。
むしろ、何故 500 年以上も皇位継承権を持ち続けられたのかの方に注目すべきです。それこそ、氏の継承感覚があったからです。 さらに言えば、例えば、旧皇族の竹田家の生まれである竹田恒泰氏が、明治天皇の玄孫に当たるように、これら旧皇族の方々は、現皇室の系統の女性と婚姻関係を結んでいますので、「女系天皇」を肯定する人々が、血筋の遠さを言うのは矛盾です。 一般人が知らないだけで、皇族と旧皇族は菊栄親睦会という会を作り、親戚付き合いを続けておられます。
ところで、今、旧皇族の男子に皇族に復帰していただいたとして、この方々の血筋に皇位が移るのはいつのことでしょうか。それは、悠仁親王殿下が皇位に就かれ、しかも男子を残さずに崩御された場合です。それは、現在の日本人男性の平均寿命からすると 60 年以上は先のことになります。それなら十分な時間でしょう。
「皇位継承の伝統」新田均 教授 皇學館大学現代日本社会学部
たしかに、旧皇族が復帰すれば男系男子の維持は難しくないかもしれない。
ただ、日本における象徴であられる天皇陛下に関する規定をどうするか、
国民的な議論が広く行われているかといわれれば疑問が残る。
国政のこともそうであるが、私も含めて国民が自分ごととして考えるということを意識する必要があると痛感した。
まずは知る動機のひとつに、この記事がなることを深く願っている。
ちなみに政治家の河野太郎氏が皇位継承についてこんなふうに言っているよ→「ごまめの歯ぎしり」河野太郎氏ブログ
コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして 加藤と申します。
質問したいと思い コメント失礼致します。
神武天皇の高祖は 天照大神ですよね。女性ですよね。
それから、古代の天皇様方は 両親共に 天皇だったと どこかの記述に書かれてたのを見たような気がします。
現在の皇室典範では「男性皇族」との事。
有識者の方々が「男系で続く 世界で唯一の国」とおっしゃってるようですが 時代と共に変わってきてます。
側室が無理な現代 女系も個人的には有りだと思ってますが もし
どうしても男系にこだわるので有れば
愛子様には気の毒ですが 男系で繋がってる元皇室の方々 週刊誌情報だと 少し上だと6人(3人は小学生なので 実質3人)もう少し遡れば100人近くいらっしゃるそうなので その中から選んだら 一応 男系になるのでは?
それに
万が一の 秋篠宮の男の子が 皇位を継承した場合
お嫁さんが 子供を産めなかったり 女の子だったら 雅子妃殿下のようになる可能性大じゃ無いですか?
下々の私が ピーチクパーチク言う筋合いのものでは無いですが
詐欺親子の小室氏と結婚を希望してる眞子親王の弟に天皇は継いでもらいたく無いし 知らない元皇族を連れてきて「天皇です」も受け入れ難いです。
愛子様が皇位継承するのを希望してますが
愛子様を天皇にって やっぱり無理なのでしようか?
はじめまして 加藤と申します。
質問したいと思い コメント失礼致します。
神武天皇の高祖は 天照大神ですよね。女性ですよね。
それから、古代の天皇様方は 両親共に 天皇だったと どこかの記述に書かれてたのを見たような気がします。
現在の皇室典範では「男性皇族」との事。
有識者の方々が「男系で続く 世界で唯一の国」とおっしゃってるようですが 時代と共に変わってきてます。
側室が無理な現代 女系も個人的には有りだと思ってますが もし
どうしても男系にこだわるので有れば
愛子様には気の毒ですが 男系で繋がってる元皇室の方々 週刊誌情報だと 少し上だと6人(3人は小学生なので 実質3人)もう少し遡れば100人近くいらっしゃるそうなので その中から選んだら 一応 男系になるのでは?
それに
万が一の 秋篠宮の男の子が 皇位を継承した場合
お嫁さんが 子供を産めなかったり 女の子だったら 雅子妃殿下のようになる可能性大じゃ無いですか?
下々の私が ピーチクパーチク言う筋合いのものでは無いですが
詐欺親子の小室氏と結婚を希望してる眞子親王の弟に天皇は継いでもらいたく無いし
加藤様
ご質問・コメントいただきありがとうございます。
実はこのようにご質問・コメントいただくのは当ブログで初めてのことで、大変うれしく思っています。
以下で質問に回答させていただきます。
>神武天皇の高祖は 天照大神ですよね。女性ですよね。
それから、古代の天皇様方は 両親共に 天皇だったと どこかの記述に書かれてたのを見たような気がします。
仰る通り神武天皇の高祖は天照大神といわれています。
天照大神は女性の神様であるというのが有力な説です。(男性神という説もあるようです)
私の意見ですが、有識者の方が「男系で続いている」と言われているのは、初代神武天皇から現在の天皇陛下までが男系である、という趣旨と思われます。
>側室が無理な現代 女系も個人的には有りだと思ってますが もし
どうしても男系にこだわるので有れば 愛子様には気の毒ですが 男系で繋がってる元皇室の方々
週刊誌情報だと 少し上だと6人(3人は小学生なので 実質3人)もう少し遡れば100人近くいらっしゃるそうなので
その中から選んだら 一応 男系になるのでは?それに万が一の 秋篠宮の男の子が 皇位を継承した場合
お嫁さんが 子供を産めなかったり 女の子だったら 雅子妃殿下のようになる可能性大じゃ無いですか?
当ブログとしては、日本の象徴たる天皇陛下のあり方として女系・男系どちらが良いか、ということを広く読者の皆様が考えるきっかけになれば幸いと思っております。
仰る通り、男系でつながっている元皇族の方から選べば男系ということになります。
それで良いのか、ということを読者の皆様に考えていただければ幸いです。
>愛子様が皇位継承するのを希望してますが
愛子様を天皇にって やっぱり無理なのでしようか?
残念ながら、現在の皇室典範によれば皇位を継承できるのは男系男子に限定されていますので、愛子様は天皇に即位できない規定になっております。
読者の皆様に、このような皇室典範の規定を知っていただき、活発な議論が生まれることを願っております。
以上、加藤様のご質問・コメントへの回答となります。
これからも一生懸命、記事を書いていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
返信ありがとうございました。
秋篠宮家に 男の子が産まれなかったら きっと皇室典範を変えてたのでしょうけど、歴史にタラレバは無いですよね。
残念です。
今後もがんばって下さい。
よろしくお願いします。