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徹底解説 ”安定的な皇位継承のあり方を検討する有識者会議”

いわゆる「安定的な皇位継承のあり方を検討する有識者会議」において、政府は皇位継承や皇族に係る諸問題への方策について、方向性を決めている。

この有識者会議で決まった方向性等は報告書に取りまとめられており、 内閣府公式ホームページで公開されている。しかし、その詳細を私たち一般の国民が読んで、深く考えるというのは現実的ではない。

たいていの場合、新聞やテレビニュース、またはインターネットなどにより短くまとまった内容を読んで終えるだろう。その証拠に、例えば「安定的な皇位継承のあり方を検討する有識者会議」が正式名称ではないことをほとんどの人は知らないのではないだろうか。ちなみに正式名称は「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」である。

また、今日の新聞・テレビ・その他インターネットメディア等において、本件について報じられた内容をみると、ミスリードを誘うような言説を数多くみてきた。

したがってこの記事では、有識者会議の報告書の内容をもとに、なるべく正確に、かつ分かりやすく、有識者会議で決まった結論および方向性を伝えたいと考えている。

皇位継承の制度については、以下の記事でも記載しているので、ぜひ併せて読んでいただきたい。

目次

有識者会議の開催経緯

元号が平成から令和に変わったときを振り返ってみる。

上皇陛下が生前譲位されるにあたり、今日の皇室典範では生前譲位の規定がなかった。そのため「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」議決し、特例法という形で生前譲位を実現した。

この特例法は、「衆議院運営委員会」および「参議院天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会」にて議決されている。

この法案が議決された際に、付帯決議(委員会の意思、意見)がなされた。付帯決議の本文は以下の通りである。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議


政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることを鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。 


一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。


政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議

上記太字部分、付帯決議の一にしたがって、政府は安定的な皇位継承について検討するため、有識者会議を開催することとなった。

有識者会議の議題

有識者会議が議論した課題は大きく分けて以下二つであった。

  1. 皇位継承の問題
  2. 皇族数の減少の問題

現在、皇位継承資格者として、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下及び常陸宮正仁親王殿下のお三方がおられる。今後の皇位継承の流れとしては、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃる。

上記を前提としたとき、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させる恐れがある。

したがって有識者会議の結論として、①の問題は、”将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で 議論を深めていくべきとなった。

①の問題は将来の議題となったため、有識者会議では②皇族数の減少の問題について議論がなされた。

皇族数の減少が喫緊の課題

有識者会議では、皇族数の減少が喫緊の課題であると明言されている。

現在、悠仁親王殿下以外の未婚の皇族は全員女性である。
このことが意味するのは、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときに現行制度では、悠仁親王殿下の他には皇族がいらっしゃらなくなる可能性があるということである。

皇族数が減少するのがなぜ問題になるのか?

ところで、皇族数が減少することがなぜ問題になるのだろうか。有識者会議では皇族の役割からこれを検討している。

皇族の役割は大きく分けて以下がある。

  • 国事行為の臨時代行
  • 皇族会議への参加
  • 摂政
  • 各種式典への出席

国事行為の臨時代行(国事行為の臨時代行に関する法律(昭和39 年法律第 83 号))>
天皇の国事行為の代表例として、国際親善のため外国を訪問することがある。昭和天皇は2回、上皇陛下は御在位中 20 回外国を訪問されている。天皇の不在時に国事行為を行うのが臨時代行であり、この国事行為の臨時代行を担うのが皇族である。
皇族数が少なくなると、外国訪問を始め様々な天皇の活動に制約が生じると考えられる。

皇室会議(皇室典範第28条、第30条、第36条)
皇族会議では、天皇及び男性皇族の婚姻、皇族の皇籍離脱などの皇族の身分に関わる重要事項を審議するため開催される。
その議員計 10 名のうち、皇族が2名を占めることとなっている。
また、皇室会議には予備議員という制度があり、議員に事故のあるときや議員が欠けたとき、また、自分の利害に特別の関係のある議事のため議員が参与できないときは、予備議員がその職務を行うこととなる。その数は2名と定められている。このように、皇室会議は複数の皇族がいらっしゃることを前提としている。

摂政(皇室典範第 16 条等)
摂政は、天皇が成年に達しないとき、天皇に心身の重患などがあり国事行為を自らすることができないときに置かれる。不測の事態に備え、摂政を務めるべき皇族の存在は欠くことのできない。

各種式典への出席
法制度上の役割とは別に、皇族の方々の役割としては、文化・学術、スポーツなどの各種式典や大会等へ臨席することもある。そうした各種団体の活動に関わること、災害等に関わる慰問・慰霊、外国訪問など、国民の安寧な生活のため様々な公的活動を行う。

以上の皇族方の役割を再検討した結果、有識者会議では、”悠仁親王殿下の世代においても十分な数の皇族方に皇室にいらっしゃっていただく必要がある”との結論となった。

皇族数確保の具体的方策の案

有識者会議では、皇族数確保の具体的な方策として以下3つの方策を検討した。

  1. 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
  2. 皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の 男子を皇族とすること
  3. 皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること

皇族数減少の一つの原因は、現行制度が女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れることとなっていることにある。そこで①案は、内親王・女王は婚姻後も皇族の身分を保持することとし、婚姻後も皇族として様々な活動を行っていただくというものである。

実はこれには前例があり、和宮として歴史上も有名な親子ちかこ内親王(第120代 仁孝天皇の皇女)は、徳川第14 代将軍家茂との婚姻後も皇族の身分を維持し、一方で家茂が皇族となることはなかった。

①案は、女性皇族が現在行っておられる様々な公的活動が継続的に行われていくことにつながり、担われる御公務の発展が期待されるとともに、関わっておられる行事や団体などの継続的発展のにもつながると考えられる。

一方で、①案への反対意見としては以下の考え方がある。

”女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することが皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないか”

女性皇族の婚姻後生まれてくる子に将来皇位継承を認めるならば、それは女系継承になってしまうのではないか、という考え方である。
※女性皇族の配偶者が皇統に属する男系の男子でない限り、父方で天皇と血統がつながらないので女系の子となるため。

有識者会議ではこの反対意見について、女性皇族が皇族でない男性と婚姻しても皇族の身分を保持するという新しい制度を導入した場合、その子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられ、また、配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられる。との結論を出した。

②養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること

養子は、皇族については、皇室典範第9条により認められていない。

皇族が養子を迎えることを可能とし、養子となった方が皇族となり、皇族の役割、皇室の活動を担っていただくというのが、②案である。有識者会議では、養子となり皇族となる者も、皇統に属する男系の男子に該当する者に限ることが適切であると検討された。

現行制度では、婚姻により女性が皇族となること及び皇族の夫婦から子が生まれること以外に皇族数が増加することはない。このことから、皇族が養子を迎えることを可能とすることは、皇室を存続させていくため、直系の子、特に男子を得なければならないというプレッシャーを緩和することにもつながる。

②案を実現する方法として、昭和22年10月に皇籍を離脱したいわゆる旧11宮家の皇族男子の子孫である男系の男子の方々に養子に入っていただくことが考えられる。

旧11宮家
伏見宮(ふしみのみや)、閑院宮(かんいんのみや)、山階宮(やましなのみや)、北白川宮(きたしらかわのみや)、梨本宮(なしもとのみや)、久邇宮(くにのみや)、賀陽宮(かやのみや)、東伏見宮(ひがしふしみのみや)、竹田宮(たけだのみや)、朝香宮(あさかのみや)、東久邇宮(ひがしくにのみや)

昭和22年10月14日に、内廷皇族及び秩父、高松及び三笠のいわゆる3直宮を除く11宮家51方が皇族の身分を離れた。

旧11宮家の皇族男子は、日本国憲法及び現行の皇室典範の下で、皇位継承資格を有していた方々である。

有識者会議では、その子孫の方々に養子として皇族となっていただくこと、また、皇位継承に関しては、養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないこととすることが検討された。

なお、養子となられる方が婚姻していて既に子がいらっしゃる場合においても検討がなされている。
民法同様、子については養親との親族関係が生じないこととし、皇族とならないこととすることが選択肢としてあるだろう。

③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

③案は、養子のような一般国民に適用される家族制度とは異なる方策となる。①・②案と異なり、現皇族の御意思は必要としない制度ともいえる。

有識者会議では、”皇統に属するとはいえ現在一般国民である方が、現在皇室にいらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま皇族となることは、国民の理解と支持の観点からは、②案より困難な面があるのではないか”との指摘があった。

したがって、”①及び②案を実施しても、なお十分な皇族数を確保することができない場合に検討する事柄と考えるべきではないか”との結論に至った。

まとめ

有識者会議が出した結論・方向性は以下の通りである。

  • 皇位継承については悠仁親王殿下までの流れを前提とし、皇位継承のルール変更はここまではしない。
  • 皇族数の減少を喫緊の課題とし、これを防ぐ。
  • 皇族数減少への対応策は以下①および②案とする。
  1. 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること。
  2. 皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の 男子を皇族とすること。
  • ①及び②案の方策を実施しても、なお皇族数の減少が防げない場合には以下の実施を検討すること。

③案の皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること。

おわりに
 有識者会議では、日本国の象徴たる天皇陛下および天皇陛下をお支えする皇族方について、真剣に議論がなされたことが分かった。正確に伝えたいがために長文になってしまったのは反省点である。

 今後も、天皇陛下に関連することに限らず日本のことを書いていこうと思うので、読んでいただけると幸いです。

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