毎年、膨大な量の遺跡が発掘されている
日本では約46万8千カ所もの遺跡がある。(2021年6月時点)地下に埋蔵されているため、地面を掘ると出てきてしまうのだ。
工事などで埋蔵文化財が発見された場合、発掘調査を行い記録することが法律で定められている。
文化財保護法では,周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には,都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)を,また新たに遺跡を発見した場合にも届出等を行うよう求めています(同法96・97条)。
出土した遺物(出土品)は所有者が明らかな場合を除き,発見者が所管の警察署長へ提出することになっています(同法100条)。土木工事等の開発事業の届出等があった場合,都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。
文化庁ホームページ「埋蔵文化財」 参照20201024
そして協議の結果,やむをえず遺跡を現状のまま保存できない場合には事前に発掘調査を行って遺跡の記録を残し(記録保存),その経費については開発事業者に協力を求めています(事業者負担)。
ただし,個人が営利目的ではなく行う住宅建設等,事業者に調査経費の負担を求めることが適当でないと考えられる場合には,国庫補助等,公費により実施される制度があります。
遺跡を現状のまま保存できない場合には、発掘調査をし記録をし報告書を提出する。
毎年、遺跡発掘調査報告書は単純計算で約1万冊ずつ増えていく。
膨大な量である。
通常これらの発掘調査報告書は地方自治体の教育委員会等が管理している。全国すべての報告書を網羅的に保管している施設は数えるほどしか存在しない。
そしてたいていの報告書は紙媒体であることが多い。しかし、最近ではデータベースが構築されるようになり、網羅的に検索できるようになってきている。
本記事ではさらに遺跡出土の大型植物遺体を調べる方法を紹介する。
遺跡から出土する植物を調べる意義
現在の日本の植物の分布は、気候変化だけでなく人による影響も強く受けてきた。日本列島には多くの遺跡があり、すみずみまで人が生活していたことがわかる。つまり、日本の植生史を語るうえで、人と植物の関係の議論は避けて通れない。各地の遺跡発掘報告書に掲載された花粉や植物珪酸体の分析結果、木材遺体や種実類や葉などの大型植物遺体の出土記録は、過去の人と植物の関係を明らかにするうえで重要な資料である。
1980年代以降、大規模開発に伴って低湿地遺跡の調査が活発化したことにより、現在までの数十年間で遺跡発掘調査報告書に掲載された大型植物遺体の出土記録は、膨大な量となっている。それらすべて確認し、自然科学分析のうち大型植物遺体と呼ばれるデータを抜き出し電子化し、データベースを公開しているホームページがある。
遺跡や堆積物中から見つかる過去の植物の種実や葉,枝などの肉眼で観察できる組織の遺存体を総称したものを大型植物遺体と呼びます。
日本各地で毎年行われている遺跡発掘調査に伴ってこれらの大型植物遺体の分析が数多く行われており,大規模開発が進んだ1980年代以降膨大な出土記録が蓄積されつつあります。
遺跡出土大型植物遺体は当時の植生や人と植物との関係史を明らかにする上でとても重要な資料です。
しかし,分析を行っている研究者でさえ個別の分析事例に辿り着くことが困難な状況であり,網羅的なデータベースの構築が必要不可欠でした。そこで,国立歴史民俗博物館では千葉大学大学院園芸学研究科と協力し,日本国内の遺跡出土大型植物遺体のデータベースを作成するプロジェクトを2012年度から開始しました。
日本の遺跡出土大型植物遺体データベースとは 参照20201025
このプロジェクトでは国立歴史民俗博物館の図書室にある約6万冊の遺跡発掘調査報告書の悉皆調査を行い,大型植物遺体の分析例がある報告書約2500冊を抽出し,記載されている大型植物遺体の記録をデータベース化しました。
2016年3月までに登録されたデータベース件数は約63000件にのぼります。
このデータベースによって,人と植物との関係史の解明がより一層進むことを期待します。
検索方法
では、実際にどのように調べていくか見ていこう。
お住まいや故郷の遺跡から、どんな植物が出土しているのか調べてみましょう。まずは、上のリンクをクリックしてください。次に下で紹介している順に調べてみましょう。検索したデータはエクセルなどの形式でダウンロードができます。
データフォーマット
登録されているデータフォーマットは下記のとおり。
まとめ
遺跡発掘調査が実施されている場所の多くが開発に左右されているため、位置バイアスは大きいと考えられる。しかし、遺跡から得られる様々な情報を知ることは、地域のこれからを論じるために必要ではないだろうか。今後は実際のデータを紹介していきたい。
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