宗教年鑑でわかる、神道の定義と分類

神道という言葉から、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
私は、神社といえば伊勢神宮や出雲大社を思い浮かべることができたが、神道といわれても、ぱっと具体的に何かをイメージすることができなかった。

しかしながら神道の歴史を辿ってみると、仏教伝来の頃には既に神道の元となるような考え方はあったということがわかっている。
日本古来から存在しながら、そのことについて私の知識が乏しいことを実感したので、今回は宗教年鑑を参考に、神道の定義と分類について書いてみた。

神道の定義の前に、まずは神道の歴史をまとめた年表を以下に示す。
宗教年鑑に載っている図表をリライトしたものである。

宗教年鑑(令和2年版)の図1を加筆修正
目次

神道の定義

宗教年鑑によれば、神道は以下のように定義される。

 神道とは、日本民族に固有の神・神霊についての信念に基づいて発生し、展開してきた宗教の総称である。また神道という場合には、神・神霊についての信念や伝統的な宗教的実践に限らず、広く生活の中に伝承されている態度や考え方を含むこともある。

 神道は、大別して、神社を中心とした神社神道、幕末以降創設された教派神道及び前二者のように宗教団体を結成せず家庭や個人において営まれる民俗神道があるという説が有力である。

宗教年鑑(令和2年版)

また、神道は大きくわけて以下の三つに分類されるという。

  • 神社神道
  • 教派神道
  • 民俗神道

この記事では、三つのうち主流となる神社神道と教派神道について書いていく。

神社神道とは

 神社神道は、その多くが神社を中心とした教団である。まつられている神様の種類も数多くあり、大きく分けると8種類の神様に分類できるといわれている。
 また、宗教法人化されている神社は約8万ある。たくさんの神社があるため、それを基にした神社神道の考え方もかなり多いことが予想できる。

 さて、神社でまつられている神様は、大きくは以下のように8つに分類できるようである。

  1. 万物創造に関する神(造化三神) 
    ・天御中主神(あめのみなかぬし)
    ・高皇産霊神(たかむすびのかみ)
    ・神皇産霊神(かみむずびのかみ) など
  2. 霊能上の神
    ・布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ) など
  3. 職業に関してまつられた神
    ・事代主命(ことしろぬしのみこと)
    ・金山彦命(かなやまひこのみこと) など
  4. 天象に関する神
    ・火之加具土神(ひのかぐつちのかみ)
    ・罔象女神(みづはのめのかみ)
    ・加茂別雷神(かもわけいかづちのかみ) など
  5. 地象に関する神
    ・大山咋神(おおやまくいのかみ)
    ・底津(そこつ), 仲津(なかつ), 表津綿津見神(うわつわたつみのかみ)
  6. 動植物に関する神
    ・高龗神(たかおかみのかみ) など
  7. 食物に関する
    ・宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ) など
  8. 人をまつったもの
    ・菅原道真 :天満宮
    ・徳川家康 :東照宮
    ・戦争で亡くなった人々 :靖国神社, 護国神社 など

神社の分類

 神社には、「~神宮」や「~大社」などの名称が付いている場合がある。このような名称にも意味があるようである。
例えば神宮の場合、そのほとんどは皇室にかかわりのある神社(皇祖神をまつる神社)や、あるいは歴代天皇をまつる神社である。
 名称の違いは、意味の他にも社格で分類されている面もあるようである。この点については調べ切れていないので、ここでは触れないでおこうと思う。

さて、先ほどは神様について分類をまとめたが、
まつられている神様によって、神社は以下のように分類できるので、それらをまとめてみた。

  • 伊勢神宮系(神明社)

伊勢の神宮は、古くは国家的なものに限られていたが、ことに戦国末頃から伊勢の大神が各地に飛び移るという信仰によって、各地に神明社が建設されていった。現在、神明社は全国に約1万8,000社あるといわれる。

宗教年鑑(令和二年版)
  • 八幡神社

宇佐八幡宮に発祥するとされる八幡神は武術の神として源氏一族をはじめ武人が広く尊崇するところとなった。現在、八幡神社は全国におよそ2万5,000社あるといわれる。

宗教年鑑(令和二年版)
  • 稲荷神社

また、京都の伏見稲荷大社を総本社とする稲荷神社にまつられる稲荷大神・宇迦之御魂神は、古くは農業神として広く信仰されていたが、やがて殖産興業神、商業神、屋敷神などへと機能が拡大され、農民層のみならず商工業者層、武士層へと浸透し、全国的に普及していき、現在全国に約3万2,000 社あり、全国で最も多くまつられているといわれる。

宗教年鑑(令和二年版)
  • 天満(天神)社

菅原道真をまつる天満(天神)社は、道真の太宰府での没後、その怨霊の活動が語られ、京都に道真の霊がまつられたことに始まる(北野天満宮)。この信仰は室町時代に全盛となり、文学詩歌などの神としても崇められ、広く天神講が普及した。現在、天満社、天神社は約1万500社あるといわれる。

宗教年鑑(令和二年版)

神社本庁とは?-神社神道系の包括宗教団体の一つ-

そもそも日本には数多くの神社が全国各地に点在しているが、神社が連合体として、結束して活動するものではなかった。
この流れが変わったのが昭和21年以降である。神社が国家の管理から抜け、宗教法人関連の法整備がなされてから、神社神道系の宗教団体が次々と結成されていくこととなった。

宗教団体をまとめる組織として、包括宗教団体というものがある。
神社神道系の包括宗教団体として有名なのが神社本庁である。

 神社を中心として結成された宗教団体のうち最大のものは、公益財団法人日本宗教連盟(略称・日宗連)の協賛団体の一つ、神社本庁である。

 神社が国家管理を離れるに際し、大日本神祇会、皇典講究所、神宮奉斎会の民間三団体が中心となって宗教団体の結成が図られ、昭和21年1月23日「……全国神社の総意に基き、本宗(ほんそう)と仰ぐ皇大神宮の許に、全国神社を含む新団体を結成し、協力一致神社本来の使命達成に邁進し、以て新日本の建設に寄与せんことを期す。」との「神社本庁設立に関する声明」を発し、神社本庁が発足することとなった。

 神社本庁は、同31年5月、神社信仰のための拠るべき指針として「敬神生活の綱領」を示し氏子・崇敬者の教化・育成につとめ、また同55年7月から「神社本庁憲章」を施行し、神社本庁の精神的統合の基本的規範を確立した。

 本宗とされる神宮(一般には伊勢神宮)を新しい敷地に移し替え、神宝を新たにする20 年に一度の式年遷宮が戦後は昭和28年、48年、平成5年、25年に執り行われ、神社界のみならず、一部の仏教団体などもあわせて奉賛した。

 神社本庁には、全国の主要な神社を含め、全国神社の大部分(78,602社)が加盟しており、47都道府県にそれぞれ神社庁が置かれている。

宗教年鑑(令和2年版)

その他の神社神道系の包括宗教団体

神社本庁以外にも、神社神道系の包括宗教団体が存在しているので、代表的な団体を以下にまとめる。

  • 神社産土教(じんじゃうぶすなきょう)
  • 北海道神社協会
  • 木曽御嶽本教
  • 石鎚本教

教派神道とは

宗教年鑑によれば、教派神道の定義は以下のとおりである。

教派神道系の諸教団は、神道的宗教伝統の中から特定の組織者・創唱者を中心とし、彼らの教説や宗教体験に従う信者からなる組織宗教である。その萌芽は古く山岳信仰の講集団などに求められるが、本年鑑に記載されている諸教団は、幕末以降に成立したものである。

宗教年鑑(令和2年版)

今日、教派神道として分類・記録されている団体は、あくまでも幕末以降に成立したものであるといわれている。
だとするならば、さまざまな地域で、さまざまな教派神道が実は存在していた(今も存在しているかもしれない)と言えるのではないだろうか。
非常に興味深いが、この点については調べ切れていない。

教派神道の分類

教派神道系は前述のように、制度的な経緯から分類・記録されている団体は、基本的に幕末以降に成立したものである。実際の教団成立過程はそう簡単に説明することはできない。
そういった点を踏まえつつ、制度的な経緯で分類するならば、
明治時代に政府公認で教派神道とされたのは十三派あった。

十三派を以下の通りである。(現在の名称を記載している。)

  • 黒住教
  • 神道修成派
  • 出雲大社教
  • 實行教
  • 神道大成教
  • 神習教
  • 扶桑教
  • 御嶽教
  • 神理教
  • 禊教
  • 金光教
  • 天理教
  • 神道大教

基本的にはこれらの教団、もしくはこれらの傘下に入ってから分離・独立した教団、あるいはこれらの教団の系譜となるものが現在の教派神道である。
また、天理教は戦後、教派神道系ではなく、諸教という分類に変わった。

さらに教派神道系は、儒教・仏教・道教・修験道といった、様々な要素が加わり、独自の考え方を持っているのが大きな特徴である。
宗教学辞典ではこの観点から教派神道を分類している。宗教年鑑ではこの点についてわかりやすくまとまっているので、以下で紹介する。

  1. 山岳信仰系

霊峰を崇敬の対象とし,さらに霊峰での修行を重視する山岳信仰の講集団に由来するもので、富士山信仰を基本とする富士講、この富士講から柴田花守が組織した實行教、宍野半(1844~1884)が結成した扶桑教のほか、丸山教、富士教、富士本教などがある。

宗教年鑑(令和2年版)
  • 純教祖系

教祖の個人的な宗教体験及びそれに基づく教えを基に結成されたもので,黒住宗忠(1780 ~ 1850)の黒住教、金光大神(川手文治郎)(1814 ~ 1883)の金光教、出口なお(1836 ~ 1918)を開祖とし,出口王仁三郎(1871 ~ 1948)を聖師と仰ぐ大本がある。
また、中山みき(1798 ~ 1887)が開いた天理教の系譜に、大道教、世界心道教などがある。

宗教年鑑(令和2年版)
  • 禊系

教理・実践の面で禊による心身の鍛錬をとりわけ強調するところに 特徴があり、井上正 まさかね鉄(1790 ~ 1847)を教祖とし、坂田正安・鉄安らが結集した禊教、芳村正秉(1839 ~ 1915)を教祖とする神習教などがある。

宗教年鑑(令和2年版)
  • 儒教系

儒教と復古神道の要素を融合して有するものであり、新田邦光(1829 ~ 1902)が開いた神道修成派、平山省斎(1815 ~ 1890)が創唱した神道大成教などがあり、神道大成教からは修験道教、天地教(兵庫)などが派生している。

宗教年鑑(令和2年版)
  • 復古神道系

その教えに本居宣長・平田篤胤ら近世の国学者の神道説の影響をもっとも濃厚に受けているもので,出雲大社大宮司の千家尊福(1845 ~ 1917)が組織した出雲大社教、巫部経彦(1834 ~ 1906)が開いた神理教,明治初期に設置された神道事務局、神道本局の系譜を引く神道大教などがある。

宗教年鑑(令和2年版)

今回は、神道の定義と分類について、宗教年鑑を参考に書いた。当然のことではあるが、この記事に書いたこと以外にも多くの要素があり、神道はかなり奥深いものであることを私自身感じることができた。


この記事が、神道について知りたいと思った方の参考となれば非常に嬉しいです。

更新通知を受け取る?

ブログ村参加中☆クリックしてね

ブログランキング・にほんブログ村へ
よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる